用宗の歴史
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用宗駅
用宗の玄関口であるJR用宗駅は、静岡市の南端に位置し、東海道本線の小さな駅ながら、どこか懐かしい趣のある駅です。
現駅舎は1936年(昭和11年)に建設され、88年の歴史を持つ建物で老朽化に伴い、建て替え工事を予定しています。
駅を降りると、潮風を感じる穏やかな町並みが広がり、漁師町らしいのどかな風景が迎えてくれます。
この駅は、もともと地域の漁業や物流を支える重要な拠点として機能してきました。
現在も、通勤・通学に利用されるだけでなく、近年は観光客の姿も増えつつあります。
駅から歩いてすぐの場所には用宗漁港があり、新鮮なシラスを味わえる食事処やカフェが点在しています。
また、駅周辺では古い町並みを活かしたリノベーションが進んでおり、カフェやゲストハウスなど、新しい魅力が加わっています。
のんびりとした雰囲気の中に、昔ながらの漁師町の風情と、時代とともに変化する活気が共存する
――それが、JR用宗駅周辺の魅力です。 -
シラス漁
用宗は古くから漁業の町として栄え、特にシラス漁が盛んな地域です。
駿河湾に面したこの地は、シラスの漁場として適しており、江戸時代から漁が行われていたと伝えられています。
かつては手作業で行われていた漁も、時代とともに技術が進化し、現在では効率的な漁法と加工技術が確立されています。
現在の用宗漁港では、新鮮なシラスが水揚げされ、その日のうちに釜揚げや生シラスとして提供されます。
港周辺にはシラスを使った料理を楽しめる食事処が点在し、観光客にも人気のスポットとなっています。
また、シラス漁は地域の活性化にもつながっており、漁業関係者だけでなく、飲食業や観光業とも連携しながら、用宗の魅力を広く発信しています。
伝統と現代の技術が融合した用宗のシラス漁は、これからもこの町の誇りとして受け継がれていくでしょう。 -
観光エリア
近年、用宗では観光スポットの整備が進み、訪れる人々にとって特別なひとときを提供しています。
観光施設の整備に伴い、周辺エリアにはカフェやレストラン、地元の特産品を扱うショップも増え、観光客の受け入れ体制が強化されています。
地域の特産品を使用した料理や、お土産として人気のシラスや海産物はいかがでしょうか。
また、用宗周辺の自然環境や歴史的なスポットを巡るツアーも提供されており、観光客にとって魅力的な体験が増えてきています。
これらの新しい観光スポットが整備されることで、用宗はより多くの人々に愛される場所となり、地域の魅力を広く発信する役割を担っています。
持舟城
歴史
持舟城は、1500年代前半に今川氏の家臣・一宮元実によって築かれました。
この城は東海道沿いにあり、背後に山、前方に海を望む要衝として、駿府(現在の静岡市)の防衛において重要な役割を果たしました。
しかし、今川氏が衰退すると、武田信玄らによって攻め落とされます。
その後も武田氏と徳川家康の間で激しい攻防戦が繰り広げられ、1582年に廃城となったと考えられています。
また、持舟城は武田水軍の拠点としての役割も果たしていました。
当時、現在の用宗駅周辺が舟溜まりとして使用され、「持舟(もちぶね)」という城の通称が生まれたといわれています。
現在
持舟城跡は「城山さん」として親しまれ、標高約76メートルの丘陵地に位置しています。
頂上からは駿河湾や静岡市街地を一望でき、天候が良ければ富士山も望むことができる、歴史と自然が調和したスポットです。
城の遺構として、本丸や二の丸、空堀、堅堀が残っており、本丸広場には安全柵や飲食用のテーブルが整備されています。
また、城跡の直下をJR東海道新幹線が通っており、上り線(東京方面)の車窓からは、唯一富士山を望むことができます。

用宗の路地裏と井戸水
用宗の町を歩くと、住宅が並ぶ路地裏にどこか懐かしい風景が広がります。
細い路地には昔ながらの家々と新しい家が寄り添い、軒先には鉢植えや風鈴が揺れ、
穏やかな時間が流れています。
この町のもう一つの魅力は、今も湧き出る井戸水の清らかさ。
路地を進むと、ところどころに井戸があり、かつて暮らしに欠かせなかった名残を感じさせます。
現在も一部の井戸では冷たく澄んだ水が静かに湧き続けています。
夏の日差しの中で手を浸せば、そのひんやりとした感触に、かつての用宗の暮らしが垣間見えるようです。
昔と今が調和するこの町の路地裏には、心を落ち着ける優しい風景が残っています。
